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バブル期にピークを迎えた『日本人のダイヤ好き』のおかげで、日本のダイヤモンド流通量と流通ルートは、独自の発展を遂げています。世界から注目される日本のダイヤモンド市場について、詳しく解説していきましょう。
日本は世界有数のダイヤモンド埋蔵国と言われています。ただ、埋蔵しているのは鉱山ではなく、各家庭のタンスの中です。
バブル期前後に婚約指輪として定着したダイヤモンドは、記念日やプレゼントの場面でも、最上位の品位と価値を持つ宝石として認識されています。日経新聞の調査によると、バブル期に日本で購入されたダイヤモンドは3兆円以上と言われ、1965年から現在までに輸入されたダイヤの総量は7,500万ct(約1.5トン)に上るそうです。
さらに、日本では宝石や貴金属を買取してもらうという考えがなく、身に付けなくなったダイヤモンドは、タンスの奥深くに眠らせている人がほとんどでした。高価なものやプレゼントで貰ったものを大切にする、日本人らしい考え方です。
こうして、日本は世界有数のダイヤモンド埋蔵国になっていったのです。
宝石に対する意識が変化してきたのは2000年前後。世界的な貴金属価格の高騰に乗じて、大手質店や宝石買取店が「宝石を眠らせたままではもったいない」と、大々的なキャンペーンを打ち出したのがきっかけでした。
また、1997年に起きた大手ダイヤモンド販売店・ココ山岡の倒産事件などを経て、宝石に対する信頼感や特別感が薄れていったのも原因かも知れません。
その後、金やプラチナ・ダイヤモンドなどの買取が浸透し、日本の宝石市場は活性化。特に、バブル期に輸入されたダイヤモンドは非常に質が高いと言われ、高値で取引されているようです。
私たちが買取してもらったダイヤモンドは、
のいずれかの市場を再流通します。
“永遠の輝きを持つ”ダイヤモンドには、中古と新品の差がさほどありません。例えば中古のダイヤの指輪があったとすると、台座やリング部分を新しいものにすれば、新品として市場を再流通します。
90年代~00年代は、不景気の影響もあり、国内よりも海外市場への流出が大幅に増えました。ダイヤモンドの輸入量は、2000年が271万ctでしたが、2008年には225万ctに減少しており、輸入金額で言えば400億円も下がっています。
対して輸出金額は、2000年は10億円程度だったのが2008年には300億円にも昇ったと言われています。こうした海外への輸出先として、ダイヤモンド市場の中心である欧米の他に挙げられるのが、近年、急激な経済成長を遂げたアジアや中東の新興国です。
特に中国は、2011年以降、世界第2位のダイヤモンド購入国の座を維持し続けています。富裕層向けの超高額なダイヤモンドだけでなく、中間層向けのダイヤモンドの売り上げも増加しており、その影響で世界のダイヤモンド価格が10~30%ほど高騰したと言われています。まさに、バブル期の日本のような状態です。
2000年以降の日本のダイヤモンド市場は、こうした国々への輸出が流通の重きを占めていました。しかしここ数年、その流れに変化が生じています。
2014年末から、中国のダイヤモンド輸入量が減少傾向を見せており(※1)、反対に、下降線を辿っていた日本のダイヤモンド輸入量が上昇しているのです。2013年の日本の輸入量は235万ctに上り(※2)、前年比13%アップ。2015年以降も増加していくと予想されています。
世界共通の価値を持つダイヤモンドは、その国の景気を計る指標にもなります。輸出入の両方で活発な動きを見せる日本市場は、世界的にも、ダイヤモンド流通の要所になると期待されています。
そもそも、日本国内でダイヤモンドは産出されるのでしょうか?
ダイヤモンドの母岩(原石が生成される岩)のキンバーライトは、アフリカ大陸やユーラシア大陸など古い地質構造の地域にしか存在せず、地質が新しい日本では産出されないと言われてきました。
しかし、2007年に愛媛県で、わずか1μm(マイクロメートル、1mmの1000分の1)のダイヤモンドが発見され話題になりました。とは言え、そんな極小なダイヤモンドを市場に出すことはできず、それ以上の成果は出ていません。
つまり、日本国内でのダイヤモンド産出はほとんど期待できません。現状、日本で流通しているダイヤは100%外国産のものです(※1)。
ちなみにダイヤモンド産出量が最も多い国はロシアで、それに続くのが、コンゴ民主共和国・ボツワナ・ジンバブエなどのアフリカ諸国、オーストラリア・カナダなどの欧米諸国になります。
アジアで最もダイヤモンド産出量が多い国はインドです。インドは世界最古のダイヤ産出国(※2)と呼ばれ、イギリスの植民地時代から欧米圏へ大量のダイヤモンドを輸出していました。産出量が落ちた昨今でも、加工業・販売業で世界有数のシェアを誇り、ダイヤモンド流通で大きな地位を占めています。