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ダイヤモンドの価値は4C(カラー・クラリティ―・カラット・カット)やインクルージョン(内包物)など、専門的な鑑定を受けないとわかりません。買取をしてもらう際には、信頼できる鑑定機関が発行した鑑定書があれば、正確で高額な査定をしてもらえます。
ここでは、国内外の代表的な鑑定機関を紹介し、それぞれの特徴を紹介します。
日本国内の鑑定機関は、宝石鑑別団体協議会(AGL)によって統括されています。AGLは国内の鑑定基準を統一させるために、昭和56年に設立した一般社団法人で、加盟する鑑定機関では、カラーグレードの判断に共通のマスターストーンを使用したり、カットの評価に自動計測器を使用したりと、正確な鑑定をするための取り組みを行っています。
海外の宝石鑑定機関なら、GIA(Gemological Institute of America)とHRD(Hoge Raad voor Diamant)が有名です。
アメリカにあるGIAは、ダイヤモンド取引の絶対的な指標である4Cを考案した、世界で最も権威のある鑑定機関です。AGLの評価基準もGIAのものを基に作成されています。ベルギーに拠点があるHRDは、ヨーロッパで高い信頼度を誇る鑑定機関です。
国際的に評価されるGIAやHRDの鑑定書は非常に信頼度が高いのですが、海外の機関ゆえに鑑定までのプロセスが面倒です。国内の業者に買い取ってもらうなら、AGL認定の鑑定会社に作成してもらえば問題ありません。
そんなAGL加盟の鑑定機関の中でも、AGTジェムラボラトリー(GIA JAPAN)と中央宝石研究所(中宝研、CGL)は、特に信頼度が高い、代表的な鑑定機関と言われています。
GIAと提携している日本の機関で、GIA JAPANのラボ部門でもあります。もともとは、昭和46年に創立した日本宝石鑑別協会から、昭和53年に分離した子会社がAGTジェムラボラトリーです。昭和59年からGIAとの提携を始めています。
鑑定だけでなく、世界的に有名なグレーダー(鑑定士)資格である「GIA G.G.(宝石学修了者)」の認定や、宝石学の教育・普及を行う等、ダイヤモンド業界の発展にも注力しています。
そうした企業理念から、最も中立で厳正な評価をしてくれる鑑定機関と言われており、買取業者や宝石市場からも高い信頼を得ています。
また、新しい判定機器を導入したAGTジェムラボラトリーは、カラーダイヤモンドの色識別でも高い精度を誇っています。微妙な色合いのダイヤを査定するなら、AGTの鑑定書は必須と言われています。
昭和45年に創業した日本の鑑定機関で、ダイヤモンド鑑定の高いシェアを誇っています。鑑定書の発行数が多いので、中央宝石研究所のグレーディングは国内ダイヤモンド市場の指標にもなっています。
また、創業者の並木正男氏は宝石鑑別団体協議会(AGL)の初代会長も務めており、まさに日本の宝石業界で中心を担う企業と言えます。
もちろん歴史や会社規模だけでなく、その鑑定力も高い評価を得ています。平成4年に、世界有数の鑑定機関であるベルギーのHRDと提携をスタートしており、今では国際的なダイヤモンド市場でもGIA・HRDと並ぶ信頼度を獲得しています。
さらに、ハートアンドキューピット(H&C)の鑑定をサブレポートとして取り入れたり、ダイヤモンドスパークレポートの開発も行うなど、先駆者的な鑑定機関でもあります。
※ハートアンドキューピット(H&C)
内放物がハートの形に見えるカットのダイヤモンドで、結婚指輪などに使われる。日本国内では人気だが、海外ではあまり浸透していない。
※ダイヤモンドスパークレポート
ダイヤモンドに光を当て、反射パターンを測定したレポート。カットや構造の均質性を計ることができる。
世界を代表する7大宝石ラボラトリーで組織されたLMHC(ラボ・マニュアル調整委員会)に日本から参加するなど、ダイヤモンド業界で確固たる評価と信頼を獲得しています。
日本国内の鑑定機関を統括するAGLですが、公的な団体ではなくあくまで業界内の自主管理団体なので、AGLに加盟していない鑑定機関もあります。また、鑑定士自体も国家資格ではないので、知識や公平性を持たない自称鑑定士も大勢います。
つまり、ダイヤモンドの鑑定書は誰でも作成することができ、買い取る店側の言いなりに値段を付ける、悪質な鑑定機関・鑑定士も存在するのです。
鑑定機関の信頼度を見極めるには、やはりAGLに加盟しているかどうかがポイントになります。中でも、AGTジェムラボラトリーと中央宝石研究所は信用できる機関ですし、これらの認定を受けた鑑定士が所属する買取業者なら、正確な鑑定をしてくれると思います。